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ホルモンの種類と働き
ホルモンはごく微量でもとても強い効果があり、種類によってその働きはさまざまです。ここではホルモンの種類と働き、補充した方の体験談、不足することによる影響などをご紹介します。
DHEA(デヒデロエピアンドロステロン) / 年齢を測るものさし
―DHEAを摂るようになってから、元気になったとよく言われますが、自分でもそう思います。新しい体に借り替えたみたいです。(49歳・男性)
―信じられないくらいエネルギーが湧いてきます。30歳の自分に戻ったような気分です。(56歳・女性)
DHEAは体内に最も多く存在するホルモンで、近年、補充療法の中心となりつつあります。
副腎から分泌され、全身広範囲にわたって働きかけます。DHEAは「ホルモンの母」とも呼ばれ、直接人体に働きかけるだけでなく、体内でエストロゲンやテストステロン、プロゲステロンへと変化します。
また、DHEAはストレスホルモンを調整し、強力な抗酸化作用で免疫システムに働きかけます。
その他、性欲・代謝・精神の安定にも深く関係することから、若返りホルモン、「年齢を測るものさし」であると考えられています。
効果 | ・免疫システムをサポートし、ストレスと戦う ・がんを抑制 ・肥満、免疫不全、高血圧、心臓病の症状を改善 ・記憶力を高め、活力を与える |
副作用 | ニキビができやすくなったり、毛が濃くなることがありますが、摂取する量を減らすことで改善します。 |
不足すると | DHEAが不足すると、風邪をひきやすくなったり、肥満・免疫不全・がん・高血圧・心臓病の原因となります。 |
エストロゲン(卵胞ホルモン)/ 更年期を迎えた女性の万能薬
―合成ホルモンが体に悪いと聞いたので、治療を一時中止していました。しかし、のぼせや気分のむらがひどく、精神的に不安定な状態が続きました。
治療を止めてから1年間で肌はボロボロになってしまいました。そんな姿をみて、友人がナチュラルホルモンによる補充療法を紹介してくれました。治療を開始すると、すぐに症状がなくなったんです。(48歳女性)
エストロゲンは、更年期女性にみられる症状の治療薬として40年以上使用されてきたホルモンです。
通常、女性は40代半ばからエストロゲンレベルが低下し、更年期を迎えます。そして、肉体的、精神的に不快で不安定な症状が続きます。
エストロゲンを補充することで、心臓病、アルツハイマー病、のぼせ、膣の乾燥、うつ、不眠、集中力の低下、体重の増加、肌や髪質の変化などの症状を改善します。
また、更年期症状をくい止めるだけでなく、肌質やシワ、髪質、性欲を改善することから、更年期症状がなくなった後も、補充を希望する女性が多くいらっしゃいます。
男性においても、男性ホルモンからの変換経路を介して、エストロゲンが製造されており、痴呆、心筋梗塞や脳梗塞の予防に、必要不可欠なホルモンです
(基本的に、男性更年期には、テストステロンを補充し、エストロゲン投与は行いません)。
効果 | ・心臓病、脳卒中の予防 ・LDLコレステロールの低下 ・アルツハイマーの予防 ・記憶力の向上 ・シワ、肌質、髪質の改善 ・更年期障害諸症状の改善 ・骨粗鬆症の予防 ・インシュリン耐性の抑制 |
副作用 | 過剰摂取による体重の増加、むくみ、頭痛、血糖の低下、血管系疾患歴がある。閉経後5年以上経過しており、かつエストロゲン補充暦のない高齢女性や、肝機能障害患者においては、わずかに脳卒中発生率が上昇。 |
不足すると | 更年期症状(のぼせや膣の乾燥、うつ、不眠、集中力の低下、体重の増加、肌や髪質の変化)が現れます。また、老化を意識することで不安で落ち込みやすく不機嫌になるなど、精神的にも悪い影響を与えます。 |
プロゲステロン(黄体ホルモン)/ エストロゲンのよき相棒
―以前は、毎日追い込まれているように感じていました。しかし今は、多少のストレスを感じることはあっても、それに上手く対処できるようになりました。(48歳女性)
―2~3日プロゲステロンを飲み忘れると、愚痴っぽくなってしまいます。私の生活に与えてくれた影響は、図り尽くせません。(67歳女性)
エストロゲンと相乗的に働くもう一種類の女性ホルモンがプロゲステロンです。
このホルモンはよく見落とされがちですが、エストロゲンが過剰に子宮内膜増殖、不正出血を促進してしまうことを防ぎ、均衡を保ってくれます。
プロゲステロンはエストロゲンと共同で作用し、加齢や更年期に伴う諸症状を改善します。
また、コレステロール、プラーク形成、うつ病、子宮萎縮に対して優れた効果を有するエストロゲンの働きを高め、副作用を軽減してくれます。
効果 | ・更年期障害諸症状の改善(生理痛、気分のむら、月経時偏頭痛) ・乳がん、子宮がんの予防 ・骨粗鬆症の予防 ・心臓の保護 ・気分、睡眠の改善 |
副作用 | 副作用の報告はありませんが、経口摂取により眠気が起こる場合があります。内服時間のずれや、エストロゲンとのバランスが悪いと、不正出血を生じる場合があります。 |
不足すると | プロゲステロンが不足すると、エストロゲンが優位になってしまい、受容体に過剰に働きかけて、乳がんや子宮内膜がんのリスクが上がってしまいます。プロゲステロンは「妊娠ホルモン」ともいわれており、妊娠にとって大切です。プロゲステロン量が低下すると出産がつらくなったり、流産の危険性もあります。 |
メラトニン / 天然の睡眠補助剤
―私は夜中に寝たり・起きたりを繰り返すようになり、週に何日も良く眠れない日が続く状態でした。
寝不足が原因で日中もぼんやりして、イライラが募りました。メラトニンを服用することで、たちまち嘘のように良く眠れました。睡眠補助剤を飲む必要もまったくなくなりました。(54歳・女性)
メラトニンは脳の松果体で合成されるホルモンで、免疫系と内分泌系の両方に働きかけます。
メラトニンにより深い眠りの周期が調整されることで、免疫機能が活性化され、風邪ウイルスなどの外部からの侵入者に対して抵抗し、身体を守ってくれます。
近年、メラトニンは、何百にも及ぶ研究で、活性酸素などのフリーラジカルを除去する、その強力な抗酸化作用に起因した、抗がん作用についても注目を浴びています。
効果 | ・免疫力の強化 ・がんの抑制 ・がんの化学療法による副作用の抑制 ・睡眠補助効果 ・抗酸化作用 ・髪質の改善 |
副作用 | 基本的に副作用、中毒性はありません。内服開始後、数日間は、夢を良く見る傾向があります。過剰摂取すると頭痛やめまいが起こる場合もあります。 |
不足すると | 不眠症や睡眠障害を引き起こします。睡眠が不足すると、身体や免疫システムに余分なストレスがかかり、老化による症状となって現れます。 |
テストステロン / 人生に活力を取り戻す
―誰かが自分の人生の20年間を巻き戻し、再び人生の舞台に立たせてくれたみたいだ。(58歳・男性)
テストステロンは男性ホルモンとして知られていますが、女性でも分泌されています。
最適値のテストステロンは骨密度と骨形成を高め、エネルギーや性欲を増進させます。
効果 | ・日々の充実感、エネルギー、身体組成、骨密度、性機能などを改善 ・シワや肌のハリ感を改善 ・筋肉、靭帯、関節などの老化を予防 ・心と体のバイタリティーの増強 ・免疫力の強化 ・睡眠の質の改善 |
副作用 | 過剰に摂取をすると、体毛が異常に濃くなったり、ニキビが出たりします。少量であれば特に異常をきたすことはありません。 |
不足すると | テストステロンが減少すると、内臓肥満、エネルギーの低下、情緒不安定、性欲の低下といった問題が起こります。 |
甲状腺ホルモン / 健康を保つ上で、必須のホルモン
―40歳を過ぎて、自分が人生に疲れきってしまったと感じました。エネルギーや好奇心がなくなり、体重が7.8キロも増えてしまいました。数件の医師を廻り、抗うつ剤を処方されましたが、かえって悪くなったように感じました。
検査で甲状腺ホルモンの欠乏が判明し、ナチュラル甲状腺ホルモンの治療を始めました。3週間程で症状はだいぶ良くなり、2ヶ月後には体重が元に戻り始めました。何より、心や頭の問題ではなかったことに安心しました。(45歳女性)
甲状腺から分泌される代謝ホルモンは体温、エネルギー、代謝、大脳機能を調節しています。
最適値の甲状腺ホルモンは脂肪を分解して、体重とコレステロール値を減少させます。また、心臓病、記憶障害を予防します。
効果 | ・代謝を高め、平均体温を上昇させる ・脂肪を燃焼させて体重増加を防ぐ ・コレステロール値を低下させる ・心臓病を予防 ・細胞代謝、認識力を高める ・髪質(白髪)の改善 |
副作用 | 甲状腺ホルモン感性の高い方に過剰量を投与した場合、多汗、震え、動機の原因となります。量を調節し、モニタリングを適切に行うことで症状は改善します。 |
不足すると | 甲状腺ホルモンの欠乏は、倦怠感、言語、行動力低下、うつ、免疫機能障害に繋がります。体温の低下は、免疫力の低下ばかりか、不妊の原因にもなります。目に見える変化としては、髪の毛が薄くなり、爪が割れやすくなります。 |
成長ホルモン / 身体のあらゆる成長に関わるホルモン
成長ホルモンは、脳の下垂体前葉で作られ、血液にのって全身に運ばれています。
身体のあらゆる成長に関わっており、主なものでは骨や筋肉の成長、代謝・血糖値のコントロール、アンチエイジング(若返り)、脂肪の代謝などがあげられます。
また、タンパク質の合成を促し、損傷を受けた筋肉繊維の修復を促す働きもあります。
最適値の成長ホルモンは、筋肉量を増やし、体脂肪量を減らします。医学雑誌に論文が発表されて以来、アンチエイジングの中心的役割を担う、究極のヒーリングホルモンです。
効果 | ・骨の伸長 ・筋肉の成長 ・体脂肪代謝の促進 ・血糖値の安定 ・代謝の促進(炭水化物、タンパク質、脂質の代謝を促進) ・睡眠の質の改善 |
副作用 | 成長ホルモンの投与を誤ると、細胞の肥大化(末端肥大症)や大腸がん、リンパ腫などの発症率の上昇、がんによる死亡率の上昇、糖尿病の発症率上昇などの報告があります。 |
不足すると | 小児期に成長ホルモンの分泌が少ないと、成長ホルモン分泌不全性低身長症を起こします。体重増加、血糖調節異常、免疫低下 |